Category Archives: 立川談四楼

立川談四楼下北沢独演会 第201回

うっかりして写真を撮り忘れてしまったのだが、8/15(土)は下北沢の北沢八幡宮で開かれる、立川談四楼独演会に行ってきた。前回が200回目ということで節目の会だったが、新しい期の始まりといった感じの会である。

顔付けは以下の通り。

開口一番 つる 仮面女子(こしら門下)
垂乳根 だん子
幇間腹 寸志
もう半分 談四楼

中入り

半夏生・玉藻ノ舞 綾乃テン
一回こっくり 談四楼

仮面女子はこしらの一番弟子で、ヤフオクに命名権を出され、地下アイドルの「仮面女子」に25万1千円で落札されたということで、一時期話題になっていた。初高座ではないが、師匠以外からは最初にもらった仕事とのこと。「女子」とは言うものの、サブカル臭のする風貌の男子である。

だん子の「垂乳根」を聴くのは3度目だと思うのだが、これまでのネタに比べてずっと巧くなったと感じた。最初に聴いたときは最後まで演じていたが、この日は途中でサゲて降りる。そのへんの対応も臨機応変になってきた。寸志「幇間腹」は賑やかでよい高座。前座のときはあまり前面に出してなかったが「昭和の爆笑王」のような持ち味になってきたと思う。軽い噺を本当に楽しく演じる。

談四楼2席は怪談の趣向で、そういえば昨年8月のオールナイトのときと同じ演目である。「もう半分」は居酒屋の主が最初人情深く描かれているのに観客の見えないところで豹変する。その省略が噺に奥行きを与えているように思った。「一回こっくり」は申し分ない情けのある噺で、途中で何度となく涙を拭わされた。オチ近く、楽屋で物が落ちるというハプニングがあったが、それもものともせずに観客をひきつけきった。夏には毎年この噺を聴きたいと思う。

色物で入った綾乃テンは人形使いで、玉藻前を実に妖艶に演じた。オシラサマを題材にしたネタも持っているそうで、妖怪会議の際などにはゲストをお願いするといいのではないだろうか。ぜひ、リンク先から写真を見てもらいたい。

終演後は楽しく懇親会。いろいろ密談しました。

立川流昼席で立川談四楼一門会

昨日、7月22日(火)は通常の立川流昼席の興行だが、初めての試みがあった。立川談四楼の弟子3人が上がる、一門会として行われたのである。また、普段の立川流の寄席には色物が上がらないが、今回から主任の選んだ色物が膝代わり(トリの前)を務めるパターンも出来たとのことであった。

顔付けと演目は以下の通り。

開口一番・道灌:らくみん(志らく一門)
垂乳根:だん子(談四楼一門)
幇間腹:寸志(談四楼一門)
大山エッチラオッチラ:三四楼(談四楼一門)

中入り

色物:ラブリー恩田
柳田格之進:談四楼

2015-07-22 15.45.59最後には一門揃っての記念撮影があった。ラブリー恩田さんの芸は分類不可能でとにかく観てもらうしかない。強いて分類するならば一人芝居ということになるだろうか。今回は披露されなかったが、15分もかかる大ネタもあるとのこと。談四楼独演会にまたゲストで来られることもあるそうなので、そのときに実際に見て確かめていただきたい。

終演後は取材があり、午後は外出しっぱなしの一日となった。原稿やらなくちゃ。

12/20 立川三四楼さんの会、ネタの通知が来ました。

前回、こちらでお知らせしました立川三四楼さんの落語会、新たにネタのご連絡をいただきました。

 三四郎さんご自作の新作落語のレパートリーから、「アニソン和尚」か「ハイパー結婚相談所」のどちらかを演じていただくとのことです。それ以外にもう一席、田丸雅智さんのショートショートを原作として新作落語を予定されているそうで、そちらはもちろんネタ下ろしです。

 終演後には三四楼さんと田丸さんのトークライブも予定しております。
 どうぞお楽しみに!

 ご予約、お問い合わせはこちらから。

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落語立川流×星派道場 ショートショート寄席
~ 立川談志と星新一、それぞれの孫弟子が奇跡のジョイント ~

 
立川談志の孫弟子にあたるSF大好き落語家の立川三四楼と、星新一の孫弟子、新鋭ショートショート作家 田丸雅智。
偉大なる師の業績を追う二人の若き求道者が、ここ新宿で初のジョイントを果たします。

[日時] 2014年12月20日(土)  開場・21:00  開演・21:30 (約2時間を予定)

[会場] Cafe Live Wire (Biri-Biri酒場 改め)
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日2000円)

 なお、この落語会の終了後には師匠・立川談四楼さんの「オールナイトで談四楼」も続いて行われます。
 ぜひはしごでのご観覧を!
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12月プロデュース興行第3弾・「オールナイトで談四楼」立川談四楼独演会第6回 今回は「富久」!

さてしんがりに控えますは、隔月で開催させていただいている立川流の高弟・立川談四楼さんの独演会「オールナイトで談四楼」です。

 この会は談四楼さんの「世の中に深夜寄席を謳う興行は数多くあるが、どれも本当の深夜寄席ではない。なぜならばみんな終電までには帰れるからだ」とのお言葉から始まりました。つまり終電で来る時刻にひそかに行われ、始発で帰っていくのが真の深夜寄席であるとの道理。
 たまたま当会場は新宿五丁目、かつての内藤新宿、現在の新宿二丁目を靖国通りの対岸に臨む大人の立地です。不夜城と呼ばれたこともある新宿にふさわしく、オールナイトで落語を楽しむという酔狂な興行をここだけでもやってみよう。そんな心意気でこの会は始まりました。隔月ですので今回でちょうど1年のサイクルを終えたことになります。

 そんな節目にふさわしく、また年末を飾るネタということで、今回はトリに「富久」を口演いただきます。談志の12月といえば「芝浜」があまりにも有名ですが、ファンの中には「富久」を好む方も多いはずです。貧しい幇間がようやく掴んだ一攫千金の夢、それが指の間からすり抜けそうになったときの悲哀。談志はそれを、溢れんばかりの感情表現で演じました。「富久」における感情移入は鬼気迫るものであったのです。
 家元ゆかりのネタを、たっぷりと聴いていただきます。
 お寒いですが、どうぞ体調を崩されませんよう。十分にご注意の上、お運びください。

 ご予約・お問い合わせはこちらまで。

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杉江松恋プロデュース オールナイトで談四楼6 終電から始発まで噺っぱなし
 
恒例深夜イベント、今回は年末にふさわしく『富久』
 
 
[出演] 立川談四楼(落語家)

[日時] 2014年12月21日(日)  開場・午前0:30  開演・午前1:00  終演・午前3:00

[会場] Cafe Live Wire (Biri-Biri酒場 改め)
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 3000円 (当日券500円up)  

※全席自由。限定40席です。
※未成年の方はご入場できません。
※オールナイトの長丁場になります。お神酒、事前の景気づけはほどほどでお願いいたします。
83260045
 なお、この興行の前には談四楼さんの弟子・三四楼さん、寸志さんの出演される落語会がございます。
 はしごでのご観覧をぜひ。

12月プロデュース興行第2弾「落語立川流×星派道場ショートショート寄席」立川三四楼・寸志 ゲストに作家・田丸雅智!

「談慶の意見だ!」に続く第2弾は、同じく立川流二つ目・三四楼さんをお招きしての実験落語会です。

 Biri-Biri寄席には初登場となる立川三四楼さんは、1976年、愛知県生まれ。初めは立川流真打の快楽亭ブラック(現・フリー)に入門し、その後談四楼門下に移籍して改名、2010年に二つ目に昇進しました。
 師匠譲りの古典落語は見事なのですが、それ以外にSFファンの顔も持ち、その方面の知人も多くいらっしゃいます。観客を自分の世界に引き入れる「メビウス落語」をぜひご覧いただきたいと以前から思っておりました。

 今回は出版芸術社からデビューされたショートショート作家の田丸雅智さんとご面識がおありということもあり、田丸さんにゲストに来ていただくほか、その作品世界の落語化にも挑戦していただこうと思っております。『夢巻』『海色の壜』の作品集で田丸さんのファンになられた方も、ぜひ会場にお運びになってみてください。

 ショートショート作家・田丸雅智の個人サイト「海のかけら」

 もう一人、2015年3月に二つ目昇進が決まって意気軒昂の弟弟子・立川寸志さんもご出演予定です。40代で立川談四楼さんへの入門を果たした「中年の星」にもぜひ熱い声援をお願いします。

 ご予約・お問い合わせはこちらまで。

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落語立川流×星派道場 ショートショート寄席
~ 立川談志と星新一、それぞれの孫弟子が奇跡のジョイント ~

 
立川談志の孫弟子にあたるSF大好き落語家の立川三四楼と、星新一の孫弟子、新鋭ショートショート作家 田丸雅智。
偉大なる師の業績を追う二人の若き求道者が、ここ新宿で初のジョイントを果たします。

[日時] 2014年12月20日(土)  開場・21:00  開演・21:30 (約2時間を予定)

[会場] Cafe Live Wire (Biri-Biri酒場 改め)
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日2000円)

 なお、この落語会の終了後には師匠・立川談四楼さんの「オールナイトで談四楼」も続いて行われます。
 ぜひはしごでのご観覧を!
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10/18(土)25時から「第5回オールナイトで談四楼 立川談四楼独演会」です

 終電で来て始発で帰る「真の深夜寄席」を目指すこの会も第五回になりました。
「世の中に深夜寄席と名のつく会は沢山あるが、どれも終電までに余裕で帰れるものばかり。真の深夜寄席、大人の遊び場と言えるものはどこにもない」
 そういうお考えから、立川談四楼さんが今年2月から始められたのがこの「オールナイトで談四楼」です。  まだ来たことがない、という方のために深夜寄席の見どころをお伝えいたします。

 その1、落語はたっぷり二席(+前座一席)。小ぢんまりとした空間で落ち着いて楽しめる。

 座席は椅子で準備しております。演者との距離も近く、至芸を目の当たりにすることができるはずです。
 そして、手抜きなしの二席はここぞ、というネタが飛び出してきます。
 これまでの三回の演目をご紹介すると、

 第一回、「らくだ」と「鼠穴」
 第二回、「三年目」と「柳田格之進」
 第三回、「人情八百屋」と「ぼんぼん唄」
 第四回、「もう半分」と「一回こっくり」

 前回は八月ということもあって、少し怪談要素の入った噺で二席でした。
 大ネタ中の大ネタあり、普段は聴けない珍しい噺あり。事前にネタを公開しない「お楽しみ」の演目ですから、いろいろ推理してみるのもいいでしょう。今回は秋の夜長ということで、またいろいろご趣向があるでしょう。

 その2、枕もまた楽しみのうち。

 ファンの方には言わずもがなですが、談四楼さんは噺の前の枕もまた抜群です。その日に報道されたさまざまな時事ネタに触れながら、自由自在に話を進めていかれます。どこで一体本題に入るのか、どの噺が聴けるのか、推理をしつつ枕を楽しむのもまた一興。その楽しさは、たとえばtwitterなどでも味わうことができます。毎日3ツイートだけ、140 字きっかりというルールを定めて投下されているツイートの数々で、話芸の片鱗をご覧になってみてください。

 立川談四楼公式twitterアカウント:@Dgoutokuji

 その3、懇親会まで手抜きなし。

 終演後、演者を囲んで懇親会になります。真打の落語家と至近距離で話せるチャンスです。
 談四楼さんは落語も懇親会も手抜きなし。芝浜じゃあるまいし、夜が白々明ける前に追い出す、なんて野暮な真似は致しません。今日の落語で気になったこと、生鑑賞の感想などを演者にぶつけてながら、楽しくやりましょう。お一人で参加されても、懇親会でぽつんと一人になることはありませんのでご安心なさってください。
 あ、もちろん時間内は飲み放題です。
 終演後にたっぷり飲めますので、どうか来場される前はほどほどになさってくださいね。

 ご予約、お問い合わせはこちらまで。

 または杉江宛にtwitter(@from41tohomania)かフェイスブック(https://www.facebook.com/mckoy.sugie)でメッセージをいただくか、メールアドレスを御存知の方はそちらでご連絡していただいても結構です。

 会の詳細は以下をご覧ください。

時間:10月18日(土)25時(19日1時)開演(24時30分開場)
場所:
〒160-0022
東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (「カリカキッチン」二階。階段を上がる)
「CAFE Live Wire (旧ビリビリ酒場)」
 TEL・FAX 03-6273-0430(「碌に為さんが惜しみゼロ」)
■都営新宿線 新宿三丁目駅C6~8出口から徒歩5分
■東京メトロ丸ノ内線&副都心線 新宿三丁目駅B2出口から徒歩6分
https://go-livewire.com/theater.html

会費:当日3000円(予約2500円)、懇親会は別料金3500円をいただきます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。
2014DanshirouAllNight4&5

本日25時より、立川談四楼深夜寄席です

2014DanshirouAllNight4&5

 すでにお知らせしている通り、本日25時より新宿BIRIBIRI寄席にて立川談四楼独演会「オールナイトで談四楼」が開催されます(開場は24時30分)。

 終電で来て始発で帰る「真の深夜寄席」を目指すこの会も四回目を迎えました。
 まだ来たことがない、という方のために深夜寄席の見どころをお伝えいたします。

 その1、落語はたっぷり二席(+前座一席)。小ぢんまりとした空間で落ち着いて楽しめる。

 座席は椅子で準備しております。演者との距離も近く、至芸を目の当たりにすることができるはずです。
 そして、手抜きなしの二席はここぞ、というネタが飛び出してきます。
 これまでの三回の演目をご紹介すると、

 第一回、「らくだ」と「鼠穴」
 第二回、「三年目」と「柳田格之進」
 第三回、「人情八百屋」と「ぼんぼん唄」

 でございました。大ネタ中の大ネタあり、普段は聴けない珍しい噺あり。事前にネタを公開しない「お楽しみ」の演目ですから、いろいろ推理してみるのもいいでしょう。八月、夏まっ盛りということで、どんなネタを選んでくるか。楽しみです。

 その二、懇親会まで手抜きなし。

 終演後、演者を囲んで懇親会になります。真打の落語家と至近距離で話せるチャンスです。
 談四楼さんは落語も懇親会も手抜きなし。芝浜じゃあるまいし、夜が白々明ける前に追い出す、なんて野暮な真似は致しません。今日の落語で気になったこと、生鑑賞の感想などを演者にぶつけてながら、楽しくやりましょう。お一人で参加されても、懇親会でぽつんと一人になることはありませんのでご安心なさってください。
 あ、もちろん時間内は飲み放題です。
 終演後にたっぷり飲めますので、どうか来場される前はほどほどになさってくださいね。

 昨夜で会社がひとまずお休みになり、夏季休暇に入られたという方もいらっしゃるでしょう。帰省シーズンも始まるのかな? そんな時期ではありますが、深夜寄席は以下のような方に特にお勧めします。

・東京都内にご実家があり、特に帰省の予定がない方。
・ご家族が帰省してしまい、一人で家にいてもすることがないという方。
・朝早い電車や飛行機で帰らなければならないのだけど、目覚ましで起きる自信がない方(徹夜で行っちゃってください)。
・普段は後の予定があって徹夜の遊びなんてできないけど、たまには羽根を伸ばしてみたいという方。
・落語会出席の皆勤記録を止めたくない方。
・落語会の決死隊になりたい方(「蜘蛛駕籠」参照。でも、台風11号はまだ来ないかな)。

 あ、もちろん、落語を生で聴いたことがなくて、試してみたい方、にもお薦めですよ。

 そんなわけでお待ちしております。大人の遊び場、深夜寄席へいらっしゃいませ。

 すでに予約サイトは終了しておりますが、杉江宛にtwitter(@from41tohomania)かフェイスブック(https://www.facebook.com/mckoy.sugie)でメッセージをいただくか、メールアドレスを御存知の方はそちらでご連絡してくだされば予約料金でお入りいただけるように手配致します。

 会の詳細は以下をご覧ください。

時間:8月9日(土)25時(10日1時)開演(24時30分開場)
場所:
〒160-0022
東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (「カリカキッチン」二階。階段を上がる)
「CAFE Live Wire (旧ビリビリ酒場)」
 TEL・FAX 03-6273-0430(「碌に為さんが惜しみゼロ」)
■都営新宿線 新宿三丁目駅C6~8出口から徒歩5分
■東京メトロ丸ノ内線&副都心線 新宿三丁目駅B2出口から徒歩6分
https://go-livewire.com/theater.html

会費:当日3000円(予約2500円)、懇親会は別料金3500円をいただきます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

7/29の談志DNA落語会をこっそりと歴史に残しておきます

立川談志の元直門の二つ目3人が集結する「談志DNA落語会」は平日の夜にこっそり行われたのであった。
 いや、別に開催を秘密にしていたわけではないのだけど。

 現・立川龍志門下、泉水亭錦魚。現・立川談慶門下、立川平林。現・立川左談次門下、立川談吉。
 現在は元の兄弟子の門下に入って活動を続けている3人だが、元は談志直門である。落語界のルールとして、師匠につかずに存在できるのは真打以上の身分だけであり、二つ目以下はどこかの門下に入らなければ存在を認められないのである。立川談志に惚れてこの世界に入ったのだから、最後までその弟子でありたいという気持ちはそれぞれにあっただろうと思う。しかし、今はそれぞれの門下で第二の落語家人生を送っている。その3人に集まり、元談志直門の気概というものを見せてもらいたかった。
 特に談吉は、二つ目昇進を果たしたのが談志の死後である(生前に談志から許可を貰っていた)。死後最初の独演会で、高座を勤めた後、「俺は談志の弟子だ」と吠えたという。その思いを今も持ち続けているのか否か。

 平林は、談志がかなりの高齢になってからの入門で、途中まで「談志最後の弟子」と自認していた。談吉の入門によってその肩書きを譲り渡したのだが、くびきから解かれたことで思いはどのように変わったのか。それとも変わらなかったのか。

 錦魚は三人の中で最も入門が古く、あの歴史的事件にも遭遇している。当時の前座が全員「二つ目昇進の意志が見られない」という理由で破門を言い渡されたという2002年の「前座全員破門事件」だ(そのままだ)。このとき錦魚も破門を言い渡されたのだが、もっとも入門歴が浅かったため、談志からすぐに許されて復帰が叶った。しかし一旦破門にしたものをそのまま戻すのは都合が悪いということで、談志ではなく立川流一門の弟子ということで当時の前座名である談吉から談一に改名しての復帰になった(したがって直門の義務である上納金も免除されていた)。この中途半端な身分はしばらく続いたので、錦魚は自分が談志の弟子に正式復帰したのがいつか定かにわかっていないという。立川流の中でも特異な立ち位置を強いられていたことが、その後の芸に影響したのかしなかったのか。

 と、まあ、そんなことを私自身が知りたくてこの落語会を計画したのでありました。

 当日の演目は、各人に無理を言い「談志ゆかりの落語」を手がけてもらうことにした。
 以下の通りである。

 談吉 粗忽長屋
 平林 権助提灯

 仲入り

 錦魚 お化け長屋

 談吉は「今日は楽屋が頭の上がらない兄さんばかりで窮屈で仕方ない」とぼやきながら高座にやってきた。「粗忽長屋」は全盛期の談志が「主観長屋」と概念を変えて演じていた落語で、粗忽、うっかりではなくて思い込みの激しい男の話に改作した。人だかりのするところに八五郎がやってくると行き倒れ(死人)がいる。顔を見ると長屋の隣人で親友の熊五郎だ。もっとも熊とは朝に会ったばかりで、昨夜のうちからそこに倒れていた死人が彼であるわけはない。勘違いだと諭されるのだが、思い込みの激しい八五郎はとにかく本人を連れてきて死骸を引き取らせるから、と言い張って長屋に熊五郎を呼びに行ってしまうのである(ここで談吉は、談志お気に入りのフレーズだった『状況判断ができない者をバカという』を引用してみせた)。

 このあと長屋に帰った八五郎は、死んでいる気がしないと渋る熊を「お前は死んでいるんだ。死んだんだから自分の死骸を引き取らないといけないんだ」と説得する。同じ思い込みが激しい二人でも、八五郎は押しが強く、熊五郎は人がいい、という対比ゆえに起きる喜劇なのである。談吉は二人が親友だという点を強調してみせた。八五郎は「おめえといつまでも一緒に長生きしたかった」と泣き、熊五郎も「悪かったなあ、先に逝っちまって」と泣くのである。ここでほろりとするような感情の励起があった。「粗忽長屋」はほろりとさせることもできるというのは発見で、いい収穫となったのである。

 その談吉の後を受けて上がったのが平林である。平林は2011年以来安来節を踊ることにも熱心なのだが、その話題を枕に振って客を十分に笑わせた。病床の談志を見舞い、目の前で踊ってみせたというエピソード、安来節の全国大会に出て二年連続で決勝まで出たが苦杯を舐めたという話、いずれも「たっぷり」だったのだが、なぜかというと「談吉が十分早く降りてきてしまったからだ」との種明かしがあった。弟弟子をいじり、楽屋に向けて「ごめんね。ネタだからね」と詫びてみせる一幕もあって自由闊達である。

 自由闊達といえば本筋に入って話を始めたときに、「あ、一つ仕込みを忘れた」と後ろに戻って演じなおし、旦那の台詞で「頭の中で修正してうまくつなげてくれ」と言って笑わせた。このへんは噺の中で突如素に戻ることもあった談志の芸風を彷彿とさせる。ネタの「権助提灯」は、新しく妾を持った旦那の話である。本妻、妾いずれも相手を立てる。見かけ上は円満に収まっている関係なのだが、当然だが水面下で闘いは続いている。それが思わぬ形で顕在化してしまうという展開なのである。ある晩、旦那は本妻から「こんな日はあのこは一人ですから心細いでしょう、向こうに泊まってやってくださいな」と言われ、妾宅へ赴く。しかし妾は、それが本妻の差し金だと知って態度を硬化させ、お気持ちは嬉しいがそれでは女が立たない、と旦那を帰そうとするのである。お互い意地になって旦那を向こうに泊まらせようとする。旦那は気の毒に、家が二つもあるのにどちらに上がることもできずに行ったり来たりさせられる。談志はここを映画的なカット割りで演じてみせた。きりきり舞いさせられる旦那のさまが笑いを誘うのである。平林は談志演出を受け継いでテンポよく話した。

 最後の錦魚は、「この三人が揃うのは史上初のことで、今楽屋でも二回目をやろう、ということに相談がまとまりました……来世で」といきなり切り出した。枕の話題は次の談志は誰が継ぐかという話題に。三人候補がいるのだという。一人は惣領弟子である土橋亭里う馬、もう一人は最大の売れっ子である立川志の輔。そして三人目は最年少の談吉だ。おそらくは最後まで生き残るのは談吉だろうから、そのときに継ぐ可能性があるだろうという。
「もし私が生きていたら……全力で反対しますけど」
 と言って客を笑わせ、すっと「お化け長屋」に入った。

 長屋にみんなが物置のようにして使っている空き店がある。そこを借り手がつかないように、と相談がまとまり、誰が来ても追い返すから、と悪い役目を古狸とあだなされる杢兵衛が請け負うのである。杢兵衛は、昔その空き店で強盗殺人があったという話をでっちあげる。幽霊が出るから借り手がつかない、というのだが、豪胆な男がやってきてしまう。怖がらせようとする杢兵衛の演出をことごとくすかし、話にためをつけようとすると「てきぱきやれ」と茶々を入れる。この男にへこまされる、というところで「お化け長屋」の上は幕引きである。

 三席のあと、三人による鼎談会を行った。その模様は当日いらっしゃった方だけのお楽しみということで、非公開である。観客は、文字通り歴史の目撃者になっていただいたのであった。

 以降も立川流二つ目落語会は開催予定である。詳細は追って発表するので、ぜひご注目のほどを。

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 落語会の告知を一つ。
 立川談四楼が真の深夜寄席に挑む「オールナイトで談四楼」第4回は明日9日25時(つまり10日1時)からです。
 終電で来て始発で帰る大人の落語会、まだ空席はありますのでぜひお運びになってください。
 詳細、予約申し込みはこちら。
2014DanshirouAllNight4&5

6/28(館林)談四楼・鶴瓶二人会 「三年目」

なかなか得がたい体験をした。
 群馬県館林で立川談四楼さんと笑福亭鶴瓶さんが二人会を開かれるという情報を聞きつけたのが一月前のことである。談四楼さんはもちろん聴きたいし、最近の鶴瓶落語がどうなっているのかにもたいへん興味がある。ようようのことでチケットを手に入れたときには、至福そのものであった。

 しかしスケジュールの確認をして愕然となる。その日は17時半から始まる、本格ミステリ大賞贈呈式の司会をしなければいけないことになっていたのである。落語会が始まるのが14時、終わるのが16時40分である。全部聴いていてはもちろん間に合わない。この贈呈式、私は絶対に欠席できないのである。なにしろ、司会役を務めることになっているのだから。

 自分の迂闊さを呪ったが(実はもう一件バッティングしていて、そちらもお断りした)、重なっているものは仕方ない。とりあえず館林には行ってみることにした。肚積もりとしては、

・二人会というからには、二席ずつか、どちらかが一席で合計三席ということになるだろう。
・とすれば中入り前に談四楼・鶴瓶が一席ずつ上がれば、二人とも聴ける算段である。
・口演中に抜けるのはさすがに失礼なので、中入りで脱け出して帰ろう。
・会場は館林駅から徒歩で20分、タクシーで5分の距離だが、場合によってはタクシーを会場前に待たせておこう。

 というような算段である。
 ちなみに拙宅から館林までは約2時間、館林から贈呈式の会場までも約2時間、往復4時間かけて1時間落語を聴きに行くことになる。なんて贅沢な落語会!

 そんなわけで28日の土曜日、13時2分北千住発の東武鉄道特急「りょうもう17号」の乗客になったのであった。
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 小旅行だし、昼を食べる時間がなかったので駅弁を購入した。この「なつかしの18品目弁当」はご飯が足りなくなるほどおかずが充実した、いい弁当である。北千住駅1・2番線ホームの先に特急専用ホームがあるのだけど、その手前の売店にある。東武鉄道の弁当は侮れない実力だ。

 駅弁を食べてしまうともう館林到着。1時間も乗っていないのである。駅前でタクシーを拾って会場である館林市三の丸芸術ホールに着いたのが13時58分、開演ぎりぎりである。係りの方の誘導に従って席に着いた。
 前座は立川談四楼弟子の寸志である。「やかん」を軽快に喋って客席を暖め、お役御免となった。

 続いて上がった立川談四楼が「鶴瓶さんがいかに忙しく日本中を飛び回っている落語家か」という話題から噺を始める。この6月28日の午後だけが奇跡的にすっぽりと空いていたのだという。そして、「お後は鶴瓶さんが落語を二席」との一言がある。先に談四楼が上がっていることからしても、一席・二席で三席の勘定か。思わず時計を見ると、すでに14時20分である。17時に東京に戻っているためには、15時35分のりょうもうに乗ってとんぼ返りしなければならない。ということは鶴瓶は聴けないことが確定? いやいや、この後鶴瓶が上がって中入り、そして長講一席という可能性もある、と素早く頭の中で計算を巡らせた。さっきのタクシーのレシートで無線の番号は調べてある。とりあえずぎりぎりまで落語を聴こう。
 談四楼が結婚式の枕を振り始めた。

 結果から書いてしまうと、鶴瓶は聴けなかったのである。談四楼が一席終わったところでそろそろ15時。中入りの告知はなく、寸志が釈台を運んでくるのが見えた。ということはこのまま鶴瓶が上がって二席連続なのだろう。諦めて席を立った。二席連続ということになると、噺の切れ目でも立てない。隣のお客さんに迷惑だし、なにより演者から見えたときに集中力を削ぐことになるからだ(自分の噺がまだもう一席あるのにお客さんが帰りだしたら、繊細な演者なら投げてしまうだろう)。
 外に出てタクシーを呼び、館林駅に戻った。
 そして駅前の狸に見送られながら、帰途についたのである。
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 負け惜しみで言うのではないが、談四楼が演じた「三年目」は結構であった。怪談の範疇に入るが、
決して怖い噺ではなく、むしろ微笑ましい印象が残る。仲睦まじい夫婦の妻が病を得てしまい、死の床に就く。夫はほうぼう手を尽くすが、みるみる病人は弱っていく。あるとき彼女は枕頭の夫に、死ぬのは運命だから仕方ないが、自分が目を瞑った後に夫が後添いをもらい、同じように可愛がるのかと思うと悔しくて仕方ない、と告白するのである。夫は彼女の気を休めるために一つの約束をする。自分はこの店の跡取りなので確かに縁談を世話されるかもしれないし、断り切れないこともあるだろう。しかしそうなったら、お前が化けて出てくればいい。婚礼の晩に先妻の幽霊が出てくれば悪い噂が立つし、縁談の世話の仕手もいなくなるだろう。そう言ってきかされたのち、病人は安心したのか、帰らぬ人になってしまう。

 これが序盤の展開で、そこから予想通り縁談が持ち込まれる、婚礼の晩になる、というのが中盤。しかし先妻の幽霊は出てこず、そのまま三年の歳月が経ってしまうのである。

 噺の後半は、新しい妻と、生まれた子供と一緒に主人公が先妻の墓参りに出かけ、帰ってくるというところから始まる。その晩になって主人公がしみじみと「あれが生きていればこうして子供が生まれて仲良くしていられたものを、死ぬ者貧乏というが本当にその通りだ」と述懐する場面が私はお気に入りである(談四楼の台詞にはなかった)。
 昭和の名人では六代目三遊亭圓生の口演が有名だが、私は五代目古今亭志ん生(共に故人)も好き。墓参りに行った主人公が胸のうちでそっと「婚礼の晩に出てくるといったけど、出てこないじゃないか。どうしちゃったんだい。向こう(あの世)にいい人でもできちゃったのかい」と言うのがいかにも志ん生らしくていいのである。最後のほうで先の女房の幽霊が出てきて後添いをもらった恨みを言うと、「恨めしい? うらめしいってのは裏に飯屋があるからうらめしやって言うんだ」「そんなむく犬のケツに蚤の入ったようなことを言っても、もう遅いよ」「あたしゃ、幽霊に掛け合うよ」とぽんぽんいいフレーズが飛び出してくる。そこに仲の良かった夫婦ならではの甘えや拗ねた様子も見えて好ましいのであった。

 談四楼の「三年目」は大人の恋愛噺になっている。最初に結婚式の枕をふっているのもそのためで、冒頭にはいかに最初の夫婦が似合いの二人であったかということが語られる。また後添いをもらった婚礼の晩の演出もよく、主人公は新妻を先に寝るように促して先妻の幽霊を待つ。妻は間違いなく初婚だろう、恥じらいながら床で夫がやってくるのを待つ。お互いに違う相手を待ちぼうけしているわけである。そうしたちょっとしたすれ違いが噺の聴き所になっている。演出はやや地噺(演者のナレーションが登場人物の台詞と同格の重みをもって噺の構成要素になる)に近く、談四楼という演者のキャラクターもたっぷりと味わうことができた。往復4時間がこの一席を聴くためにあったのだと思えば、行った甲斐もあるというものである。

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7月5日(土)、立川談慶独演会「談慶の意見だ」まだまだ予約受付中です。
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7月29日(火)、立川流二つ目の会は元・談志直門の3人が集結します。「談志DNA落語会」
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6/22深夜寄席「オールナイトで談四楼」第3回 「人情八百屋」と「ぼんぼん唄」

3回目を迎えた深夜寄席。0時開場なので1時間前には行っておこうとイダ氏にメールをすると、そんなに早く来られても困るので30分前でいいと返信。その通りに11時半に着くと、もう前座の寸志さんが来ていて会場のレイアウト変更も始まっていた。
 前回、前々回は掘りごたつ式の客席だったのだが、今回は椅子席仕様に。掘りごたつ式だと中央列のお客さんが振り向いて高座に向かう形になっていたので、改善である。
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 0時30分開場なのだが、0時を過ぎると続々とお客さんが入ってくる。それもそのはずで、終電の時間に左右されるからなのである。外で時間を潰しているよりは、店の中のほうが居心地いいからね。中にお一人、経堂さばの湯からの梯子組がいた。実はこの日談四楼さんは、昼に藤沢で講演と落語を一席、夕方に経堂さばの湯で二席、そして深夜寄席でさらに二席という超過密スケジュールだったのである。まさかお客さんまでそれにつきあってくださるとは、プロデューサー冥利に尽きるありがたさだ。
 やがて談四楼さん到着。お疲れのはずだが、それを微塵も見せないのは芸人魂のなせる業である。最後のお客様が開演3分前に来られて、予約リストから一人も脱落者なし。たいへんありがたい形で午前1時きっかりに落語会が始まった。

 本日の演目は以下の通り(ここから敬称略)。

 開口一番 寸志 狸の札
 談四楼 人情八百屋
 
 中入り

 談四楼 ぼんぼん唄

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 8月で入門3年目を迎える寸志はいつも通り歯切れのいい口調で、前座噺の基本である「狸」を語る。狸の愛らしさもそうなのだが、札になってからの仕草がおもしろく、目の前で五円札がしゃべっているかのような気分になる。オリジナルのサゲで終了。

2014062201210000 そして談四楼の一席目は「人情八百屋」である。談志も演じていた噺だが、談四楼の篤実な口調には非常によくあっていると思う。
 八百屋の平助が女房と二人でお茶を飲みながら、最近の気がかりなことを話している場面から幕が上がる。数日前に平助は、とある裏長屋で腹を空かせた子供とおかみさんに出会った。夫が長患いでその日に食べるものにも事欠く暮らしをしているという。平助は自分の使っていない弁当を子供に与え、300文の金を置いて帰ってきた。しかし300文ではいくらももつまいという平助に、女房は有り金全部持って見舞いに行け、こういうときにけちけちすると承知しないよ、と言う。
 ところが平助がくだんの長屋に着てみると、そこには貸家札が下がっていた。通りがかった者に聞くと、借家人だった源兵衛は死に、女房も同じ日に後を追ったという。驚愕した平助は、二人の子供を預かっているという鳶の鉄五郎の家に行く。鉄五郎は留守だったが、その女房が事情を話してくれた。弁当と300文の金を貰って喜んでいた一家のところに、大家の伊勢勘がやってきた。溜まった店賃のかたにと、もぎ取るようにしてその金を奪っていったのだという。絶望した夫婦は、子供を遊びに出した隙に相次いで死んでしまった。
 親切がとんでもない結果になったと知った平助は、自分のせいでこんなことに、と泣いて詫びながら仏に線香を上げる。そこに、浅草に子供たちを遊びに連れて行っていた鉄五郎が帰って来た。

 鉄五郎は女房からいきさつを聞いて頭に血が上り、伊勢勘の店を打ち毀しに行ってしまうのだが、そこのくだりが本編のいちばんの笑いどころである。さんざんに暴れた挙句、見れば銭箱の廻りをうろうろしている者がいる。おい、金に手をつけるなよ、と釘を刺すと、へそが痒いという。銭箱に手をつっこんではへそが痒いと言って懐に手をつっこんでいるのである。駆けつけた役人も粋なもので、「このようなことをしでかせば死罪は免れん……だが、誰もいないとあれば仕方ない」。いい呼吸でそれを聞いて暴れまわっていた連中もすーっと帰ってしまうのである。
 これから鉄五郎と平助の話があり、八百屋が二人の子供を引き取って育てるという結論になるのである。
 師匠の談志は平助を51歳、鉄五郎を33歳で演じていたのだが、談四楼はそれぞれ41歳、26歳と若返らせている。江戸時代の51歳はもう老境なので、子供を育てるということであれば少し年が行き過ぎている。いい変更だろうと思う。
 鉄五郎が、いい子にして可愛がってもらいな、産みの親より育ての恩ということを忘れるな、と言うと子供たちが平助の裾に取りすがって必死に頼む。その口調の愛らしさが悲惨な物語の中でアクセントになっており、感情を揺さぶられた。

 中入りを挟んでもう一席。
 前の噺の枕で、藤沢~経堂~新宿リレーの苦労、今話題になっている都議会の女性議員へのセクハラ野次の一件と時事を語っていたのだが、それにつながるような形で女性の出産の話になった。談四楼は小田急線の豪徳寺に住んでいるのだが、隣の駅の梅ヶ丘に、たいへんに繁昌している産婦人科がある。出産の数自体は減っているのだが、その分を不妊治療で埋めているのだという。もう一軒、違った形の不妊治療で人を集めている産婦人科の話を振って、こういう話が今日のテーマにつながってくるのでございますが、と断り、噺に入った。
 さて困った。前にも書いたように、枕の話題から噺を推測するのはライブで聴く楽しみでもあるが、今回はまったくわからない。

 噺は、またしても夫婦者の会話から始まる。辛党のはずの源兵衛が、珍しく饅頭を買って帰ってきた。驚く女房のおみつに源兵衛は、子供達が饅頭屋に群がっているのを見て、もしうちに子供がいたら七つ八つ買ってきて与えれば喜んだろう、とたまらなくなり買ってきたのだと言う。夫婦にはどうしても子供が授からないのだ。おみつは今までやってこなかった神信心をしようと提案し、源兵衛は浅草寺に日参する。
 その満願の日、源兵衛は街角で人だかりを見た。かきわけかきわけ前に出ると、迷子である。それまで泣いてばかりいた子供が、源兵衛にだけはにっこりを笑いかけ、すがりついてくる。その笑顔にほだされ、源兵衛はその子を連れ帰ってしまう。子供が欲しくてたまらないおみつに、一目見せてやりたくなったのだ。しかしおみつは、源兵衛の予想以上に情が移ってしまい、子供を自分たちで育てると言い始める。これも浅草寺の観音様の御利益、満願で子供が授かったのだ、と。その勢いに押し切られるような形で源兵衛もつい首を縦に振ってしまう。拾った子供だからおひろ。夢にまで見た子供との三人暮らしが始まる。

 古今亭志ん生の持ちネタ、「ぼんぼん唄」である。弟子筋の落語家でも演じている人はおらず、恥ずかしながら私も初めて聞いた。後で詳しいお客さんに教えていただいたが、談四楼は志ん生遺児である美濃部美津子に断ってこの噺を演じているのだという。
「ぼんぼん唄」というタイトルは、おひろと出会って一年目のエピソードから来ている。近所の子供たちとおひろを遊ばせていた源兵衛は、ぼんぼん唄を子供たちと口ずさむ。「ぼーん、盆の十六日、江戸一番の踊りは八丁堀」と、自分の住んでいる町名を歌いこむのがぼんぼん唄の決まりだ。ところが自分も、と手を挙げたおひろは「ぼーん、盆の十六日、江戸一番の踊りは相生町」と歌ったのである。
 途端に源兵衛は蒼白になる。おひろの本当の両親が相生町にいるのだと悟ったのだ。子供を返すのは嫌だと渋るおみつを説得し、相生町に飛んでいく。自分自身も「聞くんじゃなかったなあ」と後悔しながら。

 このあと無事に本当の両親が見つかり、ハッピーエンドになる。考えてみれば他人の子供をかどわかして自分の子供として育てるという話で、当時であっても犯罪であったろうし、現代では成立しにくい内容である。しかしそれを、子供に対する想いという人情だけで乗り切ってしまうのである。おみつが夢見ていたことの一つに、親子三人が川の字になって寝るというものがある。おひろを間に挟んで横になった夫婦は、子供がどちら側に寝返りをうつかを賭けるのである。おみつの側にくるか源兵衛の側にくるか。その情景を想像すると実に切ないものがある。そしてぼんぼん唄の一節から真相がわかってしまう展開にはサスペンスドラマの風情もあり、ストーリーも秀逸である。

 無事に子供を送り届けた源兵衛はおひろ(本名はおしず)の両親から感謝され、出資をするので背負いの小間物屋を辞めて店を出すように勧められる。またおみつも、おしずの乳母として毎日通うことを許されるのである。祝いの席で源兵衛は酔って過ごしてしまい、その場で粗相をしてしまう。それを見た主が「源兵衛さんはお気が早い。もう小間物屋を開かれた」というのが落ち。酔って戻すのを「小間物屋を開く」と呼ぶことを知らないとわからない落ちだが、談四楼はあえてくどく押さずに通した。

 終演後は参加者のほとんどが帰らずに(そりゃそうだ)大宴会。昇ったお天道様を拝みながら帰りました。