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一見、不思議な顔ぶれだろうと思う。
今年二月【Live Wire#88】「ヤクザと原発 福島第一潜入記」〜タブー利権にたかるアウトローたちでも、生々しい福島原発の労働現場取材の状況を伝えてくれた、ヤクザ業界に詳しいライター鈴木智彦。タッグを組む中島麻美は大手出版社で編集者/記者として務める傍ら、自らもヴィヴィッドな文章を発表する書き手でもある。そして、畠山理仁は「記者会見ゲリラ戦記」を出版、自由報道協会での活動でも広く知られる政治ジャンルのジャーナリスト。
共同して仕事をしているチームでもないし、取材ジャンルも微妙に異なる。
この三人を結びつけたのは、3.11。
東北大震災の被災地取材だった。
彼らは今、書く媒体の宛てもないまま、取り付かれたように東北震災の被災地に通い詰めている。
その一端は、鈴木が書いた「ヤクザと原発」に詳しい。ヤクザ業界に詳しい彼の耳には、福島の事故発生直後から福島原発の労働者の口入れにヤクザが関与し、異常なレートで人を送り込んでいるという情報が入っていた。東京での周辺取材と人づての情報だけでも十分記事は成り立つだろう。しかし鈴木は、あえて現場を直接経験することに拘った。そしてレギュラーの仕事をなげうって、福島第一への潜入工作に傾注していく。
その姿は、ジャーナリストとしての義務感を越えて、一種の執念じみたものさえ感じさせる。生活を投げ打ち、家族をも顧みず、取り憑かれたように被災地を目指した。ライターという職業の本能なのか、それとも心の奥のもっと複雑な感情なのかは判らない。
今回のトークの扇の要を務める中島麻美は、東北大震災と自分の心情についてこう書いている。
2011年3月11日午後2時46分。
昭和30年代に建てられたボロいビルの中で、きっとこの建物が崩壊し、
わたしはその下敷きになるに違いないという揺れを経験した。
だが、その時に壊れたのは古ぼけた建物ではなく、わたしの心だった。
放射能は「遠い東北の災害」と片付けて落ち着こうとする東京のわたしの距離感を無化させた。
4月10日、わたしはバスルームで髪の毛を切り、丸坊主にして、福島第一原子力発電所に向かった。
それから、ずっと、わたしの心は福島にあるまま、東京での生活がつらくなっていった。
(「picnic in my room」コラムサイト「アパートメント」での連載:2012年2月)
また、畠山理仁も被災地熱に憑かれた一人だ。
彼のスタートは遅かった。震災からちょうど一年となるこの春、自由報道協会での業務に一区切りをつけ、被災地取材を開始した。それまでの一年、東電本店での記者会見取材は精力的に続けてきたが、現地に足を踏み入れたことはなかった。
だがあっという間に、それは彼のメインフレームの「しごと」に変わる。いつしか東京での仕事を極力切り詰め、毎週のように自家用車での単独行を繰り返すようになっていた。
特に明快な取材目標があるわけではない。
発表の宛てもなく被災地をめぐり、現地の人の仕事を手伝い、会う人会う人の言葉を拾う繰り返し。
そして夜は車の中で眠る。
不思議な、そして遮二無二の取材行だ。
三人三様ではある。
しかし、共通するのは、「被災地に行かねばならない」という止むに止まれぬ感情。
単なる「取材」であったのなら、一定の情報量を手にして被災地に背を向ける事も出来ただろう。だが、明快なアウトプットの目標すらない彼らの「取材」は、ズブズブと底が見えないものとなっていく。まるで素手で油田を掘り当てようとするかのような、暗闇の中の手探り。ーーそして、そんな過酷な行脚は今も続いている。
媒体のバックアップもなければ、単行本を出す宛てもない。当然個人の資金には限りがある。
自嘲気味に付けられた今回のトークのタイトルは
ライターはなぜ取材し続けると貧乏になるのか?
だが、本当のテーマはむしろ、「そこまで身を削って何を取材したいのか?」なのではないかとも思う。
彼らの魂のアンテナを揺さぶり続けるものは何なのか。通常のジャーナリズムの手法では煮物の灰汁のように綺麗に拭い去られてしまう、「取材者の心象風景」について聞けるのではないかと思う。
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また、幹事役の中島麻美からは、こんなメッセージも届いている
「当日持ち寄りのお宝映像資料大会あります。いずれも原発がらみ。いちえふ関連で、当日爆弾材料あります。」
やはり、根っからのハンター。
闇雲に砂金探しをしているのではないらしい。
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