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Live Wire #123
2012年9月26日(水)
Live Wire「ビリビリ酒場」新宿中島麻美&安田純平&常岡浩介「なぜライターは取材し続けると貧乏になるのか?〜海外・戦場取材編
安田純平
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常岡浩介中島麻美
【出演】中島麻美安田純平常岡浩介(ライター)

 先月、中島麻美は、鈴木智彦・畠山理仁とのトリオ(自称「ライター界のドリカム」)でLive Wireに初登場。三人の共通課題である、東北大震災の被災地取材の最大の難点


「なぜライターは取材し続けると貧乏になるのか?」

という根源的な問いを投げかけた…わけだが。

 各人の福島第一原発の取材報告や映像、そして原発労務者派遣業社長の生々しい証言という、あまりに“美味しい”素材が並んだ結果、タイトルに掲げた問いはうっかり着地することを忘れ、一同の頭上をスルーしていく結果となった。

 無論彼らの取材成果を見れば、大手メディアが伝える表層的な情報は如何にマイルドで、牙を抜かれた腑抜けな情報であるかは一目瞭然。ならば、彼らが困窮するのもおのずと頷ける話ではある。彼らの取材してきた素材はディープすぎ、大政翼賛的な現在の宦官メディアには、陽の目を見る場所がない。ーー要するに「売れない」のだ。

 この構図は、決して被災地取材だけのものではない。
 むしろさらに重篤な状況に置かれているのは、海外の戦地を巡るフリー記者、いわゆる“戦場記者”たちであろう。

 今日も戦地では人が死に、自由を蹂躙され、大国のエゴやグローバリズムのゴリ押しが断行されている。しかし、この国の近視眼的な報道メディアと読者は、特に報道管制や情報統制が行われているわけでもないのに、“海の向こうに戦争がある”事実をやり過ごそうとする。否応なく連結された今の世界においては、“対岸の火事”がいつ我々の日常を暗転させるかもわからないというのに、だ。

 売れない写真、書けるアテのない取材と半ば覚悟しながら、“戦場記者”は自腹で戦地に赴く。書く仕事で得たばかりではない小金、気の遠くなるような時給数百円の積み重ねを、バカ高い燃油サーチャージ代に置き換えて、イラクへ、アフガンへ、東ティモールへ、ソマリアへ、コンゴへ。神風特攻隊の如き彼らの蛮勇を受け止める、国際紛争地域は星の数だ。

「なぜライターは取材し続けると貧乏になるのか?」

 というテーゼを馬鹿正直に問うことは、実は全く無駄なことなのかもしれない。

 スイカ頭の我らが同胞は、劣化ウラン弾によって量産されたコソボの白血病の赤ん坊たちより、福島産の米が中国製のインチキ計測器を揺らす、毛虫ベクレルの数値が遥かに気になるという。そして、メディアはアイドル風情の人気投票に一喜一憂するばかりで、スーダンの大量虐殺に投入された中国製の武器の不気味な意図になど、一行も費やす気がない。

 それでも彼らは出かけていく。
 書く媒体のアテは皆無、取材費はすべて自前、命の保証ゼロ。

 何人も、見るべき事実があると信じた人間を止めることはできない。彼らは“その瞬間”を見定めるのは自分でなければならないという、半ば強迫神経症にも似た衝動に突き動かされている。

 “きょうじん”という言葉に、どういう漢字を当てるにせよ、彼らはそういう人間だ。
極限の死地を漂い、稀有な体験をし、見たものを人に伝えずには居られない。

 今回も題名通りの予定調和なトークは、決して期待できないだろう。
しかし“きょうじん”な彼らが、命を的にその目で見てきた光景を、人々の言葉を、そして自身の心の震えを直に聞く、この一夜の体験は、一生戦地に立つことなどないであろう僕等に、別種の修羅場を垣間見させてくれるはずだ。

 “憑かれた人生”と言う名の戦場を。

 

安田純平(やすだ じゅんぺい)
1974年埼玉県生。フリージャーナリスト。一橋大学社会学部卒。1977年信濃毎日新聞入社。2002年3月、休暇を取り個人でアフガニスタン取材。4月文化部に異動。12月再度休暇を取り、イラク取材。2003年1月退社。フリーに転身。2月からイラクに滞在、この間イラク軍やイラク警察に数度拘束される。2004年4月14日ファルージャ近郊で武装勢力に拘束されたが17日解放。この経緯が日本国内で大きく報道され、バッシングを受ける。『囚われのイラク:混迷の「戦後復興」』(現代人文社)『誰が私を「人質」にしたのか―イラク戦争の現場とメディアの虚構』(PHP研究所)を出版。2005年1月スマトラ沖地震で被災したアチェを取材。内戦状態で取材が困難となったイラクに入国して取材するため、2007年、イラク軍関連施設で料理人として働きながら、基地建設現場や民間軍事会社事務所など取材。2010年『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(集英社新書)を出版。

電子版安田純平http://jumpei.net
Twitterアカウント@YASUDAjumpei
ガジェット通信http://getnews.jp/archives/author/jumpei
 

常岡浩介(つねおかこうすけ)
1969年、長崎生。早稲田大学在学中にアルジェリア、リビアなどを旅し、日本に伝えられている状況と現地の状況のギャップを知り、ジャーナリストを志す。1994年長崎放送に報道部記者として入社。1998年退社し、フリーに。2000年イスラム教に改宗(改宗後の名前はシャミル)。2001年6月チェチェン共和国取材中に行方不明と報道される。「日本国籍のチェチェン国際テロリスト」と報道され、2004年ロシア秘密警察に身柄を拘束され、強制退去処分。写真週刊誌「FLASH」2003年1月21日号で『認定!ジャーナリスト貧乏日本一』と紹介される。2008年『ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記』(メディアワークス・角川グループパブリッシング)を出版。2010年4月アフガニスタンで、タリバン幹部を取材直後誘拐され、同年9月解放される。2011年9月パキスタンでの取材活動での取材活動中、パキスタン当局に拘束される。空港ロビーで6日間拘束され続け、同日強制送還により帰国。拘束していた情報機関職員は日本政府からの依頼による拘束と説明していたが、日本大使館は依頼を否定している。またパキスタン政府は拘束の理由については明らかにしていないが、地元の報道によると、常岡がアフガンでジハードに参加しようとしているために拘束したとしている。拘束中に大量の蚊に刺されたためにデング熱に罹患する。治癒直後の2011年10月28日、Live Wire#64 「拘束一代男〜常岡さんなんでそんなに捕まるの?」(自由すぎる報道協会#4)に出演。

シェルコの情報公開(公式):http://www.geocities.jp/shamilsh/
Twitteアカウント:@shamilsh https://twitter.com/shamilsh
Live Wire#64 「拘束一代男〜常岡さんなんでそんなに捕まるの?」(自由すぎる報道協会#4 2011年10月28日)


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【日時】 2012年09月26日(水) 開場 19:00 開始 19:30
【会場】 Live Wire「ビリビリ酒場」新宿
〒160-0022
東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (「地鶏ちゃんこ料理・悠」の右、階段を上がる)
■都営新宿線 新宿三丁目駅C6~8出口から徒歩5分
■東京メトロ丸ノ内線&副都心線 新宿三丁目駅B2出口から徒歩6分
【料金】 800円(アーカイブ視聴料)

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