5月25日(水)
Book Japan Presents Vol.1
豊﨑由美x杉江松恋
「書評の愉楽」出張版(仮)
Live Wire の読書系イベントの名ナビゲーターである書評家・杉江松恋氏が満を持して放つ、書評サイト「Book Japan」主催のイベント第一弾。なんと「文学賞メッタ斬り!」で勇名を馳せた“平成の書評王”トヨザキ社長こと豊﨑由美さんをパートナーに迎え、池袋コミュニティカレッジでの名物書評講座「書評の愉悦」の出張版。
この講座は、課題作を読んで書かれた書評に対して、受講者全員が内容を読んで採点。最高点を得た人には「書評王」の称号が与えられるという、リアルタイムの講評会。(毎回、招かれたゲストのプロ書評家も含めて講評を受けるが、匿名のためにアマチュアに負けることも多く、まだ四人しかトップ成績をとった者が居ないという超難関)
前夜までに、ネットを通して集まった原稿は23本。批評文をさらに批評し、それをライブトークで見せるという、未曽有のイベントが幕を開ける。二人の“文学剣客”の研ぎ澄ました言葉の剣を掻い潜り、“書評王”の座に就くのは誰か?
【課題作品】
西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』(講談社文庫)
私小説家・藤澤清造昭和七年に非業の死を遂げた。現在ではほぼ忘れられた存在といえる作家だが、「私」は没後弟子を名乗り、全集刊行を個人で成し遂げようとしている。そればかりか、菩提を弔う親族も絶えた清造の霊を祭るため、月ごとに墓所のある能登半島・七尾まで通っているのだ。ある日のこと、同棲している女と喧嘩をした「私」は、能登へ向かうための飛行機に乗り遅れてしまう。空いた時間を利用し、「私」は二十年以上もの間訪れたことのなかった祖母の墓所を訪ねる。父親が性犯罪者となったために、「私」の一家は離散、親族とも絶縁していたのだ。肉親との縁に恵まれない「私」にとって、唯一の情を通わせられる相手は、同居する女だけだ。しかし「私」は、彼女に対しては自身の粗暴な面をむき出しにしてしまう。ちょっとしたことにむかっ腹を立て、暴力をふるってしまうのだ。高尚な志と裏腹の度量の狭さが、「私」を狂おしい心境へと駆り立てる。(杉江松恋)
J・P・マンシェット『愚者が出てくる、城塞が見える』(光文社古典新訳文庫)
ジュリー・バランジュは、五年間入所していた施設から出て、企業家のアルトグの使用人として働くことになった。彼の幼い甥、ペテールの世話をするのだ。だが邸での生活には最初から不穏な気配が漂っていた。アルトルに怨みを持つ男が、彼に暴力をふるおうとするのを、ジュリーは目撃してしまった。また彼女自身、施設で暮らすことになった原因から、いまだ解放されたとはいえない状況にあった。
翌日、ペテールと外出中のジュリーは、四人組の暴漢に襲われ、身柄を拘束された。ペテールの身柄を楯に脅され、ジュリーはアルトル宛の手紙にサインをさせられてしまう。
暴漢たちの目的は、彼女を冷酷な誘拐犯に見せかけることだったのだ。薬によって自由を奪われ、ジュリーたちは見知らぬ場所へと連れて行かれる。そこには、首くくりの縄を垂らした大樹が生えていた。1970年代のフランス犯罪小説〈ネオ・ポラール〉を代表する作家の、記念碑的傑作。(杉江松恋)
このライブには当日オンラインからのTipping(投げ銭)ができます。会場に来ることができなかったあなたも、面白いと感じた出演者には、どんどん応援のTippingをお願いします。クレジットカードと銀行振込の二通りの方法がありますが、100円単位の少額から、何口でも可能です。(アーカイブ映像に対する支払いもOKです。)左のオレンジのアイコンをクリックして、ショップカートをご利用ください。同時に出演者への激励メッセージも贈れます。
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